60歳目前、顔の上には菌80万

美肌

「50~60代、6月の美肌術」の記事で

顔の肌にいる皮膚常在菌について、少し触れてみました。

この話、おもしろいと思うので少し掘り下げてみたいと思います。

細菌は「腸活」ブームで、菌=悪者というイメージも

払拭されつつありますが、お肌の上にいる皮膚常在菌もまた

うまくバランスをとることで、美肌に導いてくれるんですよ。

あなたの肌の上にもいる、皮膚常在菌

菌と聞くと、未だにあまりよくないイメージを持つ方もいるかもですね。

洗濯洗剤の類いでは「抗菌」だの「除菌」だの大書された製品が

目白押しですし、なんといってもコロナ禍で、菌に敏感にならざるを得ない

日々が続いていたりします。(てか、コロナは菌じゃなくてウイルスですがね)。

でも、最近流行している「腸活」を思い出せば、怖さ半減というか

実はありがたいものだったりする…とも思えますよね。

「腸活」とは、「腸内フローラ」を形成する腸の中の菌を

バランスのよい状態に整えることで体をすこやかにする…というもの。

腸活を意識して、ヨーグルトなどの発酵食品を積極的に摂取したり

菌の餌になる食物繊維をとることを心がけている方も多いでしょう。

菌って、そんなに怖いものじゃないんですよー!

なにせ人の体内や皮膚、すべて合わせると100兆もの菌がいるとのこと。

人は菌とともに生きている…といっても過言ではないかもしれません。

(ちなみに最も多いのは腸内細菌で、80%を占めるそうです)

皮膚にいる菌は、数百億から1兆といわれていて、

顔だけでも80万もの皮膚常在菌がいるんです。

顔の上(肌の表皮の上)で皮膚常在菌はフローラを形成し、

バランスをとりながら、肌を外的刺激などから守ってくれています。

皮膚常在菌は3種類に大別できる

腸内細菌と同様に、皮膚常在菌も大別して

「善玉菌」「日和見菌」「悪玉菌」の3種類が存在します。

悪さをする菌もありますが、なんと「美肌に欠かせない」菌もいます。

善玉菌

善玉菌を代表するのが「表皮ブドウ球菌」です。

皮膚表面や毛穴に存在していて、汗や皮脂を餌にして

肌の上で脂肪酸やグリセリンを作り出しています。

表皮ブドウ球菌が作り出した脂肪酸は、肌を弱酸性に保ってくれます。

それと同時に、後述する悪玉菌・黄色ブドウ球菌が増殖するのを防ぐ

抗菌ペプチドも作り出してくれます。

また表皮ブドウ球菌によるグリセリンは、皮膚のバリア機能を保つ役割もあります。

さらにはNMF(天然保湿因子)も作りだし、お肌の潤いを保ってくれます。

なんかいいことずくめですねー。

そのせいか表皮ブドウ球菌は「美肌菌」とも呼ばれているんですって!

すこやかなお肌は、表皮ブドウ球菌が常在菌の大部分を占めています。

皮脂膜を形成するのに無くてはならない存在なのです。

日和見菌

日和見菌を代表するのが「アクネ菌」です。

アクネ菌といえば、ニキビの原因になる菌として有名なので

これが日和見菌なの?と思うかも。

でもアクネ菌はお肌にいいこともやっていたりするんです。

アクネ菌は嫌気性菌で、酸素ある環境ではほとんど増殖できず

死滅してしまいます。そのため毛穴や皮脂腺に入り込んで存在しています。

そこで皮脂を餌にして、プロピオン酸や脂肪酸を作り出して

肌表面を弱酸性に保ちながら、肌に付着する病原性の強い細菌の

増殖を抑える役割を担っているんです。

肌を雑菌から守ったり潤いを保ったりするなんて、

アクネ菌って実はいい子なんです!

…とはいうものの。

皮脂の分泌量が増えただとか、何かの異常で毛穴がふさがったりすると

アクネ菌が過剰に増殖、ニキビを引き起こしてしまいます。

よいことも悪いこともする、日和見菌といわれる所以ですね。

悪玉菌

悪玉菌を代表するのが「黄色ブドウ球菌」です。

これ、肌に住んでいる菌…というよりは、食中毒の菌としての方が

有名ですよね。名前を聞いたことがあるという方も多いでしょう。

黄色ブドウ球菌は肌の表面や毛穴に存在していて、

肌がアルカリ性に傾き、善玉菌の表皮ブドウ球菌が少なくなると、悪さを開始!

増殖してかゆみや炎症を引き起こします。

かゆい~!とひっかいたりして傷になると、更に増殖して化膿することも。

いるだけなら特に問題ないものの、増殖すると肌トラブルを引き起こす…

まさに悪玉菌ってわけです。

悪玉菌にはほかにも「マラセチア菌」というカビの一種もあり、

かゆみや痛みをともなう炎症を引き起こします。

皮膚常在菌のバランスを保つのがポイント

皮膚常在菌は、バランスを保っている分にはなんの問題もナシ。

というか、善玉菌の作用のように、いてくれた方が肌によいといえます。

でもそのバランスが崩れた場合、肌トラブルを引き起こすことになります。

だからバランスを壊さないように皮膚常在菌と上手に生活し、

かつ表皮ブドウ球菌を減らさないようにすることが大切です。

バランスが崩れる原因は、実はスキンケアにある場合が多いのです。

特に注意してほしいのが、洗顔とクレンジング。

適度な洗顔は肌を清潔に保ててよいのですが、

強い洗顔料で使ったり過度に洗顔すると、皮膚常在菌を洗い流しすぎて

しまうだけでなく、皮脂も減ってバリア機能が弱まってしまいます。

皮脂が減ると、美肌の善玉菌である表皮ブドウ球菌のエサもなくなり

表皮ブドウ球菌が減ってしまいます。表皮ブドウ球菌が減ると

悪玉菌が跋扈し、さらに日和見菌も悪さをし始めます。

クレンジングも同様で、皮脂を落としすぎるのは厳禁。

かといって、おざなりに行ってメイクや汚れが残ったままだと

肌は酸性に傾いて、皮膚常在菌のバランスが崩れます。

また角質の落としすぎや、殺菌効果のあるスキンケアも注意!

善玉菌の表皮ブドウ球菌は角質にいるので、無理に角質を落とすと減ってしまいます。

殺菌効果で皮膚常在菌を落としすぎると、肌のバリア機能を低下してしまいます。

腸内細菌ほど知られた存在ではないものの、

皮膚常在菌は、肌にとってなくてはならないものです。

美肌というと、肌に美容成分を与えるスキンケアばかりに

目が向いてしまいがちですが、自然の摂理に則った皮膚常在菌にも着目し、

常在菌のバランスが保てるようなスキンケアも心がけたいものです。

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